Life in Berkeley アメリカ大学院留学記

2021年からUCBのPh.D.課程にて研究留学中 <進学準備、研究生活、日常生活を紹介します>

時間の流れを左右しているもの

時の流れが遅いとか早いとか、地球上では時間はいつも同じように経過しているのに、人によって状況によって時間の感じ方が異なるのは面白いな、と思います。

私は、1月中ばに渡米してから気持ち的には半年くらい経った気がするのに、まだ5月が始まったばかりなのかーと感じています。時間の感じ方については心理学、時間の概念は物理学などで議論されるように思いますが、ここでは学問的な話ではなく、私自身がどうして渡米してから今までこんなにも時の流れが遅く感じているのかについて考えながら、時間の感じ方をコントロールできる(かもしれない)方法についてご紹介します。この考え方は学術的に合っているかどうかではなく、あくまでも私個人の考え/感じ方を元に、時間の流れ方について考察したものです。

渡米してからずっと時間の流れが遅く感じることについては疑問に思っていて、本当は4月の振り返りの記事の中で少しだけ触れようかな、と思っていた内容なのですが、書いていたら長くなってしまったので、別記事にしてみました。

f:id:c201233w:20210505011949p:plain

1. 今現在の時間の感じ方

一般的にはtime fliesというように、充実した楽しい時が過ぎるのは早く感じ、退屈な時間が過ぎるのは遅く感じると言われています。しかし、自分の今やっていることが充実していなくてつまらないことだから時が経つのが遅いのか、と言われると、どう考えても日本にいた時よりは毎日充実しているし、それは違うと思います。また、別の例として、去年の3~6月にコロナで実家に引きこもっていて研究室にも行けずやることがなかった時期を振り返ってみると、毎日が退屈でつまらなかったはずなのに、あっという間に過ぎ去ったように記憶しています。そして、今現在はただ時間の流れが一定して遅く感じるというよりは、毎日やるべきことに没頭していると気がついたら数時間経ったり、1日があっという間に感じることはあるのに、長い目で見ると月日が経つのが遅く感じるという不思議な時の感じ方をしています

2. 時間の経過を左右しているもの

この理由として、最初は”充実した楽しい時が過ぎるのは早く感じ、退屈な時間が過ぎるのは遅い”という概念を元に、自分にとっての楽しい時間・退屈した時間について考えていたのですが、時間の経過を早いと感じるか遅いと感じるかの本質は、ある時間が楽しいか退屈かではなく、ある時間が経つのを意識しているかどうかによるのではないか思いました。

例えば、実験中に5分待ち時間がある時に、タイマーで5分が経過するのをただ眺めながら待っている時はすごく長く感じられますが、その5分に違うことをしようと思うと同じ5分でも一瞬に感じられます。授業内容に集中できずに授業が終わるのをただ待っている時には全然時計の針が進まないのに、講義に集中している時には気がついたら終わりのチャイムが鳴っていたなどという体験も同じことだと思います。この考え方を今回の私の場合に当てはめて考えると、日々の日常の中では実験や作業、ミーティングなどやるべきことに集中していて1日が過ぎるのを早く感じるのに、渡米してから1日が終わるごとにその日の出来事等を振り返って毎日日記をつけているおかげで1日という日付の単位を細かく意識していて、全体としては時が経つのが遅いと感じているのだと考えました。

3. ”充実した楽しい時が過ぎるのは早く感じ、退屈な時間が過ぎるのは遅い”という概念の本質

こう考えると、一般的によく言われる”充実した楽しい時が過ぎるのは早く感じ、退屈な時間が過ぎるのは遅い”というのも、楽しい時を過ごしている時はその時間の経過を細かくチェックしていないから気がついたらあっという間に時間が経ったように感じてしまっていて、逆に退屈な時間は早く時間が過ぎないかな〜と思いながら時間の経つのを意識しているから遅く感じるという意味で、間違ってはいないと思いますが、根本的に何が時間の長短を決めているかというと、楽しく感じているかどうかではなく、意識しているかどうかなのだと思います。

そんなの当たり前、わざわざ気づくほどのことでもないよ、と思われるかもしれませんが、私としては時間が経つのが遅く感じるのはなんでだろう、渡米してから充実した時間を過ごしているつもりでいるけれど、こんなにも時間が経つのが遅く感じるのは心のどこかでつまらないと感じているからなのかな、、、と思っていたので、時間の長短は楽しいかどうかではなく、その時間に意識を向けているかどうかによる、と考えてみることで安心/納得しました。

確かに、Ph.D.課程が始まったばかりでまだまだ先が長い、先が思いやられるという気持ちもないわけではありませんが、渡米してからこれまでの時間の経過の遅さはネガティブな感覚ではなく、きっと1日が経つのは早いけれど、日々濃い時間が過ごせており、日々の経験やよかったこと悪かったことなどを毎日記録しているから、全体で見ると渡米してから今までに経験してきたことに対して過ぎ去った時間が少なく感じる(=時が経つのが遅く感じる)という感覚なように思います。実際、渡米してからのこの3ヶ月間は次々と課題が与えられて、常に短いスパンの中で成長を求められてきたので、日本では半年かけてやっていたようなことを3ヶ月で行ったような状態で、濃い時間が過ごせているのは間違いないです。

4. 楽しい時間の流れを遅くするには

そして、今と同じように日々忙しく濃い毎日を送っていた学部時代でも、1日ごとの記録をしていなかった当時は毎日が慌ただしく過ぎ去っていったように時の流れが早く感じていたので、単調な研究生活を過ごさないためにもその日ごとの記録をするというのはいい習慣なのではないか、と思いました。ちなみに、これを応用すると、楽しい時間が過ぎ去ってしまうということも改善できるかもしれません。例えば、ただ楽しい時間をボーッと過ごしてしまうのではなく、数時間ごとにインスタグラムのストーリーに投稿してみるなど(笑)、何らかの形で記録に残してみると、ある時間に何をしたというのが意識できて過ぎ去ったという感覚が少なくなったりするかもしれません。

あるいは、楽しい時間を過ごしている時にはそのことに集中していて時間を意識するのが難しくても、例えば旅行などが終わってから楽しい時間が過ぎ去ってしまったように感じられても、一つ一つの細かい出来事を思い出し振り返りながら文字に起こしてみたりすると意外と色々とやっていたな、ということが感じられ、過ぎ去ったという感覚が薄れた状態で記憶に残せるといったことも経験上あるように感じます。


もし時間があっという間に経ってしまうように感じて焦っている人がいたら、日々の出来事をほんの少しでいいから記録してみると、1日1日が終わったということが感じられて時の流れを遅くできるかもしれません。あとは、日々の生活がルーティーンワークばかりで単調になってしまっている場合は、意識的に新しいことを行ってみると、新しい1日を過ごしたような気分になると思います。少なくとも、私の経験上は何も記録しない日々を過ごしているときに比べて、日記をつけているときは1日1日の経過が感じられて時が立つスピードが遅くなります。個人差はあると思いますが、試してみるのはタダなのでよかったらやってみてください!

今回は、本当は4月の振り返りとして少しだけ触れようかなと思っていた内容について取り出して書いたので、コラム的な記事になりました。渡米に役立つ情報等はまた随時時間を見つけて更新予定です。