Life in Berkeley アメリカ大学院留学記

2021年からUCBのPh.D.課程にて研究留学中 <進学準備、研究生活、日常生活を紹介します>

アメリカでの運転免許&REAL IDの取得方法

先日、アメリカで車の仮免許を取得してきました。コロナ禍だったせいもあるのか、かなり待つと悪評のあったDMV(Department of Motor Vehiclesの略。車両管理局)が結構空いていて、1時間程でとても簡単に取得できました。

免許取得の流れ、留学生が免許取得をしようと思った時に必要な書類と、私が筆記試験の勉強のために実際に使用したWebサイトを紹介します。特に、自分のアメリカでの居住を証明する書類が2つ必要で少し戸惑うかもしれないので、私が実際に使用した書類を参考にしていただければと思います。

そして、詳しくは記事内で紹介していますが、運転免許証はいらないという人もREAL IDというカードを持っていると、パスポートの代わりに公的証明書として利用できるのでおすすめです。REAL IDの発行も免許証と同じくDMVで行います。

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 1. カリフォルニア州での運転

アメリカは州ごとに色々と法律が異なるので、ここでは私の住んでいるカリフォルニア州について述べます。カリフォルニア州の州法では、旅行者と居住者で運転をする際のルールが大きく異なります。"旅行者"は18歳以上で有効期限内の自国の免許を持っていれば、国際免許がなくても車を運転することができるという決まりがあるのですが、”居住者”となる場合には国際運転免許証は使用できず、渡米後10日以内にカリフォルニア州の発給する免許を取得する必要があると明記されています。(DMVのガイドブック参照)

まず、旅行者と居住者の区別はなんなのか? ということなのですが、日本から長期滞在でやってくる人(ビザで入国する人、永住権で入国する人など)は居住者とみなされ、米国への渡航目的が短期ビジネスか観光であり90日以内での滞在の際に発行されるESTAで入国する場合には旅行者として認識されます。

以下に旅行者と居住者それぞれのパターンを詳しく解説します。

 1.1 旅行者

旅行者として渡米をし、カリフォルニア州で運転をする場合は18歳以上で有効期限内の自国の免許を持っていれば、国際免許がなくても車を運転することができます

一般的に、海外で運転するには国際免許が必要と考える人が多いと思いますが、なぜカリフォルニア州では日本の免許のみで運転できるのか?というと、それはカリフォルニア州の州法では日本で発行された運転免許証が正式な免許証として認められているからです。逆に言えば、カリフォルニア州の州法では国際免許証はあくまでも免許証を翻訳した許可証に過ぎず、正式な免許証と認められていないため、国際免許のみでの運転はカリフォルニア州では認められていません。つまり、旅行者としてカリフォルニアで運転をする際には日本の免許証はマスト、国際免許を持っていても日本の免許も必ず携帯する必要があることに注意してください。

以下に原文を載せておきます。

“International Driving Permits

The State of California does not recognize an International Driving Permit (IDP) as a valid driver license. California does recognize a valid driver license that is issued by a foreign jurisdiction (country, state, territory) of which the license holder is a resident.
The IDP is only a translation of information contained on a person’s foreign driver license and is not required to operate a motor vehicle in California.”

また、日本の運転免許証のみでの運転というのは州法では認められていますが、レンタカーを借りる際には注意が必要です。ほとんどのレンタカー会社の従業員は日本語を読めないため、日本の運転免許証を受け付けていないレンタカー会社が多く存在します。そのため、日本の運転免許証しか持たずに旅行をする際には、日本の免許証を受け付けているレンタカー会社を探さないといけないという苦労をする可能性があります。そのため、旅先でレンタカーの利用を予定する場合は、国際免許証を取得していくことをおすすめします。

 1.2 居住者

居住者として渡米をし、カリフォルニア州で運転をする場合は国際運転免許証は使用できず、渡米後10日以内にカリフォルニア州の発給する免許を取得する必要があります

この"渡米後10日以内にカリフォルニア州の発給する免許を取得する必要がある"という説明は、居住者として渡米し運転したい場合は渡米したら10日以内に免許を絶対に取りに行かなくてはいけないのか?というような誤解を招く可能性があるように思う(私は少し混乱した)のですが、これは国際免許の有効期限は入国後10日間のみという意味です。つまり、渡米後すぐに免許を取得する必要はなく、運転をしたくなった/する必要が出てきた時に免許の取得をするので大丈夫です。

そのため、基本的に学生ビザで留学をする学生は日本から持ってきた国際免許の有効期限は入国後10日間のみで、それ以降はカリフォルニア州の免許の取得が必要だと考えると良いと思います。国際運転免許証の効力についてよく知らないと、国際免許を取ったから運転して大丈夫と思ってしまいますが、日本の免許と国際免許のみで運転をし続けていると、警察に止められる可能性があるのでお気をつけください。

ちなみに州ごとに免許証が異なるため、カリフォルニア州で取得した免許は他の週に引っ越す場合などは使えません。(筆記テストのみだけで実技はないらしいですが、)新しく免許を取り直す必要があります。

2. DMVでできること

DMVというのはDepartment of Motor Vehiclesの略で、要するに運転免許センターのことです。DMVオフィスは各地にあるので、Google MapでDMVと調べてみると自分の住んでいるところの近くにあるDMVオフィスがわかると思います。

基本的にDMVでできることは以下になります。

・運転免許証の申請(筆記試験、実技試験)

・運転免許証の更新、内容の修正

・REAL IDカードの発行

※REAL IDカードというのはアメリカで使用可能な公的な証明書で、運転免許証の身分証の機能だけを取り出したものになります。アメリカではパスポートか運転免許証しか公的な証明書として使用できるものがないため、パスポートを持ち歩きたくない、かつ、運転免許はいらないという人はREAL IDカードを申請しておくと便利だと思います。

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3. REAL IDとは?

ここで、REAL IDというのが生まれた背景を簡単に説明しておくと、9.11同時多発テロを受けて、安全対策強化の目的で「REAL ID法」というものが成立し、それまでは州ごとに異なっていた運転免許証や身分証(ID)の発行基準が、米国全土で統一されることになったということがあります。そのため、2020年10月1日を境に、「REAL ID法」に準拠する運転免許証/身分証の提示が、義務付けられることとなりました。現在DMVで申請して取得できる運転免許証や身分証(REAL IDカード)はREAL ID法に準拠するものとなっているため、これから申請をする人は特に気にすること/やらなくてはいけないことはありません。

また、ネットでREAL IDと検索すると国内線搭乗というワードがよく出てきますが、その理由は、アメリカでは以前は国内便への搭乗時には、各州が発行する普通の運転免許証を持っていれば、パスポートを持ち歩かなくても空港のセキュリティゲートを通過できたようですが、2020年10月からはREAL IDと呼ばれる偽造防止機能と読み取り機能の入った免許証/ID出なくてはなったため、古い運転免許証を持っていた人たちがこの制度によって自分の免許証を更新しなくてはいけなくなったということで話題になっていたようです。 

 Xserver Business

4. アメリカでの免許取得の流れ

続いて、アメリカでの運転免許証取得の一連の流れを説明します。私も実際に取得するにあたり、いくつかのブログ等をみたのですが、情報が古く更新されていないものが多かったので、以下に2021年3月現在の情報を書いておきます。

DMVのオンラインアカウント作成 

②オンラインで先に必要書類を提出しておく(オプショナル)

最寄りのDMVで筆記試験を受け、仮免許を取得する

実技試験に向けて運転練習をする

最寄りのDMVで実技試験の予約をする

実技試験を受けて合格する

⑦運転免許の発行

DMVのオンラインアカウント作成

以下のウェブサイトからオンラインアカウントを作成してください。日本語を希望の人は日本語も選択可能です。

 

www.edl.dmv.ca.gov

以下に日本語を選択した場合の写真を載せておきます。

要件で”IDまたは運転免許証”を選択後、新規作成の場合は”ID.me”を選択してアカウントを作成してください。

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②オンラインで先に必要書類を提出しておく(オプショナル)

アカウント作成後、REAL IDの申請手続きを進めていくと、↓の写真のような画面が出てきます。ここで"はい"を選択すると、次のページで必要書類の事前提出が求められます。これは、オプショナルなため、いいえを選択して、DMVオフィスにいきなり書類を持って行ってもいいのですが、ここで事前提出を行うと自分の用意した書類が必要書類として認められるかを判定してくれるため、事前提出をすることをおすすめします。

f:id:c201233w:20210322133928p:plain留学生が申請する際に必要な書類は、
・VISA(Passportに貼ってある)→原本
・I-94
・SSN(ない場合はないということを証明する必要があります)→原本
・居住証明書2点

になります。居住証明書2点についてはどのような書類が認められるのかは、事前提出のページに詳しく書いてありますが、アメリカでの現住所が記載されている書類が必要になります。

私は以下の書類を使用しました。

アメリカの銀行口座の残高証明書

・UCBの授業料支払い時のレシート

必要書類の事前提出が終わると、↓のような受付番号の印字された画面が出てくるので、それを印刷して、DMVオフィスに持っていきます。自分の提出した書類の一覧がチェックできるようになっているため、忘れずに全ての書類を用意してください。

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最寄りのDMVで筆記試験を受け、仮免許を取得する

オンライン申請が終了したら、最寄りのDMVオフィスで視力検査、指紋採取、写真撮影、申請料$38を行い、それから筆記試験をコンピューターで受けます。筆記試験の予約ができると書いているブログがあったのですが、現在は筆記試験の予約はできませんでした。オンラインで申請手続きを済ませ(①)、書類を事前に提出し(②)、受付番号の印字された紙を持って行っただけで、スムーズに筆記試験を受けられました。

筆記試験は3回受験が可能ですが、3回落ちると、最初から申請をやり直す(申請料を払う)ことになります。

また、REAL IDカード(身分証の機能だけが欲しいという場合)の申請をする際には、視力検査、指紋採取、写真撮影、申請料$38の支払いを済ませるとカードもらうことができます。

筆記試験についてはDMVの公式ガイドブックに書いてあることが問題になるので、これを一通り読めば大丈夫です。もちろん、英語で受験をすることもできるので、どちらでもやりやすい方で受ければ良いと思います。

公式ガイドブック(日本語)

https://www.dmv.ca.gov/portal/uploads/2020/05/dl600J.pdf

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私は、ガイドブックをざっと読んでから、下の過去問を4回解くという方法で約1時間くらい勉強してから筆記試験を受けましたが、それで合格できました。

交通ルールの変更などに伴い問題の内容も更新されているため、ネット上に上がっている過去問を使用する際には更新年度を確認することをおすすめします。私が使用した下のサイトに上がっている過去問は全く同じ問題が本番にも出ていて、特に問題なかったです。

dontla.com

他にも、このような↓過去問をPDFで公開しているドライビングスクールのWebサイトもあったので、こういったものを活用して少し過去問を解いてみるといいと思います。

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https://www.ristadrivingschool.com/practicetest/rista_practice-written-test.pdf

筆記試験に合格すると、仮免許として紙を渡されます。

実技試験に向けて運転練習をする

仮免許を取得したら、次は実技試験です。教習場でしっかりと運転技術を教え込まれる日本とは異なり、アメリカでは助手席に18歳以上のカリフォルニア州の免許を持つ人が同乗しているという条件のもと、公道を走って各自練習します。
初めての免許取得の場合には人のいない駐車場などから練習を始めることをおすすめします。

余談ですが、私は現時点で仮免許を取得しただけなので、これから運転の練習をしなくてはいけないのですが、私の住んでいるBerkeleyの街は車がなくても十分に暮らせるところなので、車を持っている友達が1人しかいなくて、今練習させてくれないかと都合を聞いているところです。。運転練習をするのも実技試験を受けるのも、自分で用意した車で行わなくてはいけないため、留学生にとってはそれが一番免許を取得する上で大変かもしれません...。

最寄りのDMVでの実技試験の予約をする

実技試験(Behind-the-wheel-test)を受けるためには予約が必要です。下のリンクから予約をしてください。

www.dmv.ca.gov

 Xserver Business
試験を受けるためには、Permit、試験用の車(Registration Cardも)と、そして自動車保険が必要です。筆記試験同様、これも3回落ちると最初から申請をやり直すことになってしまいます。

実技試験を受けて合格し、運転免許を取得する

実技テストでは、助手席に試験官が乗り込み、手信号をさせられたり、ハザードやライトの位置確認をさせられるようです。タイヤの状態やシートベルト、ミラーなども確認されるそうなので、実技試験に使用する車のメンテナンスはしっかりとしておいた方が良いでしょう。

そして、DMVの周辺の一般の公道を指示通りに走らされ、横で試験官が減点方式で採点をし、規定のポイントを下回らなければ合格となります。スピード違反など、一発不合格となってしまう項目もあるようです。

DMVオフィスごとにテストルートは異なりますが、本番のテストコースで使用するルートがネットやYoutubeに載っていたりするため、自分の最寄りのDMVでのテストルートについて調べ、事前に練習する際にその道を走ってみるといいと思います。

また、交通量の多い地域にあるDMVよりも、ひっそりとした場所のほうが実技テストも運転しやすいという理由から、どのDMVオフィスがおすすめかといったことも書いてあるので、それらを参考に試験会場を選ぶといいと思います。(筆記試験と実技試験を異なるDMVオフィスで受けることもできます)

実技試験に合格すると、免許は普通郵便で後日送られてきます。合格した当日に90日間有効なInterim Driver’s License(Temporary License)がもらえるため、免許証が届くまでの期間はそれを携帯して運転が可能です。

5. 感想

私は現時点で仮免許を取得したという段階なので、実技試験については詳しいアドバイスができませんでしたが、また実技試験終了後に記事を更新しようと思います。

今回私が驚いたのは、ネット上で目にしたDMVオフィスでの待ち時間が長いという酷評を全く感じず、スムーズに手続きが終わったということでした。ネット上にはDMVオフィスに入るための長蛇の列ができている写真などがあって、どんな感じなんだろうと心配していたのですが、私の行ったOakland ClaremontのDMVオフィスは 9:00にオープンするところを9:40くらいに行っても全く並ぶことなく施設内に入ることができました。そして、施設内に入るときに受付番号を渡され、その番号が呼ばれるまで椅子に座って10分くらい待っていたのですが、オフィス内もソーシャルディスタンスがしっかり行われていたし、特に不満はありませんでした。

コロナの影響で新規申請者が減っていたりするのかもしれないので、ずっとこのような状態が続くのかはわからないというのと、他のDMVオフィスの状況もわからないのですが、これから運転免許の申請をしようと思っている人がいらっしゃれば、参考にしていただければと思います。

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